『中原中也詩集 (新潮文庫)』
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30歳で早世した詩人が遺した二冊の詩集+未刊詩篇。近代詩の古典を存分に味わう。
愛する者よ、無垢なる日々よ――。
生と死のあわいを漂いながら、失われて二度とかえらぬものへの、あふれる惜別の想いを、ノスタルジックにうたい続けた、夭折の天才詩人、中也。哀切で甘美なことばが、胸をうつ調べとなって響きあい、はかない余韻が心に沁みる2冊の詩集『山羊の歌』『在りし日の歌』に、詩集として編まれなかった作品も併せた140篇の詩篇を収録。
【目次】
山羊の歌
初期詩篇/少年時/みちこ/秋/羊の歌
在りし日の歌
在りし日の歌/永訣の秋/後記
未刊詩篇
中原中也年譜
解説吉田凞生
著者の言葉
私は何にも、だから語らうとは思はない。たゞ私は、私の個性が詩に最も適することを、確実に確めた日から詩を本職としたのであつたことだけを、ともかくも云つておきたい。(「在りし日の歌後記」)
幾時代かがありまして
茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました
幾時代かがありまして
今夜此処での一(ひ)と殷盛(さか)り
今夜此処での一と殷盛り……(「サーカス」)
汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる
汚れつちまつた悲しみは
たとへば狐の革裘(かはごろも)
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる……(「汚れつちまつた悲しみに……」)
中原中也(1907-1937) 山口県生れ。東京外語専修科修了。若くして詩才を顕わし、15歳で友人との共同歌集『末黒野』を出す。1925(大正14)年上京、小林秀雄、永井龍男、河上徹太郎、大岡昇平らと交遊し、1934(昭和9)年に第一詩集『山羊の歌』を自費出版する。1933年の結婚後、長男文也を2歳で失ってから心身が衰弱し、1937年、鎌倉で急逝。小林秀雄に託されていた詩稿が、翌年に『在りし日の歌』として出版された。
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